第79回代表理事コラム

第79回代表理事コラム(2012.7.4)

2009年夏の政権交代は何だったのか(佐賀新聞の論説より)!!

ついに民主党が事実上の分裂状態に入った。国民から大きな期待を集めた政権交代から2年9カ月。この間、民主党政権は何をなし得たのだろうか。マニフェストとして高らかに掲げた政策は次々に崩れ、最後にはマニフェストには一言もなかった消費税増税だけが残ったのではなかったか。
 政権交代当時、民主党は、ばら色の未来を描いて見せた。それも、無駄を削減し、予算を組み替えることで十分に実現できると約束した。

 「コンクリートから人へ」はどうなったか。子育て世帯が受け取る「子ども手当」は月2万6千円になったか。月7万円の最低保障年金が実現するのは40年も先の話だとは、有権者は誰も知らなかった。高速道路は無料で走れるようになったか。衆院の定数は80減らすのではなかったか。
 こう並べてみると、むなしさばかりが先に立つ。ここに至って今さら、マニフェストを守ろうという小沢グループの主張にしても、それぞれの公約が前進しているかのごとくに語る野田佳彦首相の強弁にしても、どちらも国民の理解を得られるとは思えない。

 小沢一郎元代表に追随して反対票を投じた議員は57人だった。小沢氏はグループの会合で「党に残って再生させよう」などと述べ、当面は党に残留する意向を示している。一気に新党立ち上げまで突き進むかは流動的にしても、事実上の分裂状態だ。野田政権の国会運営はさらに厳しさを増すだろう。

 今、この国は東日本大震災からの復興の道半ばにある。加えて、本格的な人口減少社会に突入し、高齢化が進み、子どもは減って、社会から活力が失われつつある。社会保障システムは機能不全を起こし、国民の間では将来への不安が膨らみつつある。

 言うまでもなく、それに対応するのが政治の役割のはずだが、繰り広げられてきた民主党内の対立は、国民不在ではなかったか。単なる主導権争いにすぎなかったのではないか。

 分裂に至った直接の原因は、消費税の増税をめぐる対立だった。増税は不人気政策だし、誰もが拾いたくはない火中の栗ではあろう。

 だが、この国の危機的な財政事情を考えれば、将来への先送りを断つために、どこかの時点で誰かがツケを払わなくてはならないのは明らかだ。

 この国の社会保障制度にがたがきている以上、どうやって立て直すのか、消費税増税ではない別の手だてがあるのであれば、具体的に示すべきだろう。単に反対だけでは政権を担う党の一員として責任を果たしたとは言えないからだ。
 異なる意見を抱きつつも、何が国民のために最善の道なのかを探る努力が、どれだけ果たされたのだろうか。

 民主党は、政権を担当して直面した現実の厳しさを率直に認め、見通しの甘さを国民に謝罪し、そこから出直すべきだった。

 今回の大量造反は、民主党が政策で結ばれてはおらず、党内の合意を作り上げる仕組みにも欠けている現実を浮き彫りにした。いずれにしても、あの熱狂に迎えられた政権交代が、ひとつの終焉(しゅうえん)を迎えつつあるということだけは、はっきりしているようだ。

この国はどうなっていくのだろう!!

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