「タニヤの帝王・増崎さん」
(右端がタニヤの帝王・増崎さん)
バンコックの繁華街パッポンはアジア有数の歓楽街。耳にした事もあるのでは?
売春婦も数多い。でも、その売春婦に「あの街で働く人間は最低よ!」と言われる場所がある。その場所こそが、パッポンに隣接する日本人街・タニヤ。
僕から見ればタニヤはごく普通の日本人向け飲屋街。それがどうして売春婦から忌み嫌われる街なのだろう?
それは、こういうこと。
タニヤで働くということは日本人相手のクラブで働くということ。
そしてアホな日本人は、どいつもこいつも騙し放題。
ゆえに、クラブに通いつめるアホな日本人駐在員たちをだまして、複数と愛人契約をするということ。
「(今夜だけだけれど)あなただけよ〜♪」
「♪ビローン(鼻の下が伸びる音)」
つまり、タニヤで働く→カモがワンサカ→同時多発愛人契約の締結、ということになるのだそうだ。三段宙返り論法!
どうやらタニヤで働くということは、ウソと体を売って金を得ることだから、純粋に(?)体だけを売る売春婦の方がマシ、ということらしい。
む〜ん、貞操に対する考え方は 奥深い。
今度みんなにアンケートを取ってみたい。
不特定多数と小金を取っていたすのと、特定少数と大金を取っていたすのと、どちらのモラルが上か?
嫁とするのに金を払うべきか、貰うべきか?みたいな話だな、こりゃ。
まあ、タニヤで働く人間のモラルなど、旅行者の僕には関係無い。楽しく美人と飲める日本人飲屋街。それだけ。ただ、これほど大きな日本人歓楽街は他国では記憶に無いなぁ。
そんなタニヤで3軒ものクラブを経営しているのだから、増崎さんは凄い人。福岡市出身の慶応ボーイ。中洲では奥さんにクラブをやらせている。
さらには、「Gダイアリー」というバンコックの日本人向け雑誌にも連載を持っている。内容はもちろん「タニヤお遊び指南」。バンコックの日本人村の有名人だ。
初めて逢った7年前はタニヤで唯一のリムジンを所有し、仕事帰り必ず毎朝ゴルフに行く優雅な生活。そんな増崎さんの様子がこの頃おかしい。
日本の不景気の波は、確実にタニヤにも押し寄せた。店の前にいつも停まっていたリムジンも姿が消えた。客が多すぎて女の子が足りないほど忙しかったお店にも、いつか閑古鳥が鳴き始めた。
商材の買い付けに社員と行った時のことである。
「いやあ、今度うちの店でも食事をできるようにしたんですよ。」
増崎さんの笑顔は、いつも心の壁をすーっと通り抜けてくるかのようだ。
「へ〜っ、どの店で?」
「大衆店のハニーで、です。」
「どんな料理なの?」
「それは、食べてのお楽しみ。」
いやしんぼの僕が行かない訳が無い。でも、所詮は飲み屋の料理、あまり期待しない方が良いかも・・・
結局バンコックで一番美味いタイシャブ屋のチェーン「コカ」に行った足で増崎さんの店を訪れることにした。
☆「B級グルメ万歳―鍋編@」
タイシャブチェーン「コカ」。初めて食べた時の驚きを今も忘れない。こんな単純な鍋がこんなに美味いなんて!
台湾の「石頭火鍋」という料理に似ている。肉だけでなく、野菜や海鮮、餃子などをダシの効いた鍋に火の通り難い順番に入れていくだけ。ここまでは「石頭火鍋」も「コカのタイシャブ」も同じ。あとはタレに付けるか、付けないかの違いだけ。
単純な料理だから食材を入れる順番が命。麺も野菜も肉も全部いっぺんに入れるのは止めようよ、A君。小麦成分が溶けて食べられなくなる。春菊と溶けた餃子・麺が絡まりあう、不気味なコラボレーション。仮面スワッピングパーティーで「いただきまーす」、とベッドインしたら母親だった―そんな味になった。
ところで「コカ」はインドネシアなどのアジア各国にチェーン店があるが、新宿にも2店舗支店があるそうだ。一度いかが?
アジアにはいろんな鍋がある。前述の「石頭火鍋」は韓国焼肉を台湾風にアレンジしたら鍋になったというウルトラC級の鍋。どうやったら焼肉が寄せ鍋になるのかな?息子が大きくなったら美人のオカマになった、そんな感じ。
閑話休題
「いやー美味かったな、さすがにコカだ。」
「そうですね、あそこは美味いですね。」
部下のY君と。腹八分はいつだって後ろ髪を引かれる。
それでもクラブ・ハニーのドアを少しワクワクしながら開けた。
「いらっしゃいませ。お待ちしていました。」
増崎さんの満面の笑みが出迎える。でもやはり我々以外にお客さんがいない。
新しく食事を出すなどのサービスを せざるを得ないだろうなあ。でも、何を食べさせてくれるのだろう?ワクワク。
個室に座る、タイ美人が隣に座る。
え、貴女たち何をするの!
どひぇえっ!
いきなりパンティを脱ぎ始めた!
同時に運び込まれる食材と鍋。
「こ、これって・・・」
「そうです、新しいサービス
ノーパン・タイシャブです。
あ、触っちゃダメですよ!」
・・・お後がよろしいようで。
ゴーゴーバーでヌードダンサーの横で騒ぐ日本人―決してウチの社員じゃありません