差別用語

成冨隆一

 

 昔は、「ピエロの詩」(※)の中で胴長短足のことを、足だけピグミーとか、

椅子を並べて寝るのに4脚必要で、そのうち足の部分には1脚だけで良いとか、いろんなことを書いていました。

 (※明善高二年の時、生徒会執行部の中で作っていた回覧用の自由ノートの名)

 今、あの頃から25年以上も経ってしまうと頭髪は薄くなり、下腹もちょっと出てきて、

肉体的にブザマな状態になってしまっており、「ハゲ」・「デブ」という表現がピッタリということになってしまった。

 ところで今は、この肉体的な欠陥を直接示す言葉が「差別用語」ということになってしまったがために、近頃は正確な表現をするのが難しい時代になっています。

いま、ハードウェアやソフトウェアの開発現場では「差別化」ということが声高に言われています。少しでも他社と違った部分を作り格差をつけることで、創案者利益を作ろうということです。創案者の権利が、特許等で保護されていればなおさらOKです。

 

 グラウンドマンホール(マンホールのふた)には機能上、内部のガス(メタンガス、亜硫酸ガス)の滞留による事故を防止するために、開孔部が設けられており、これを通常「ガス穴」と呼んでいます。

 下水道には、汚水の排除・雨水の排除と二つの機能があり、汚水管にこのガス穴をつけると、内部への雨水の浸水による処理場の負荷の増大や、住民による汚臭クレームの可能性があり、ガス穴の形はあっても中は埋まっており、形はあるけど機能せずということで

「盲ガス穴」と呼ばれていました。今はこれを「ガス穴ナシ」と呼んでいます。

 しかし、「メクラガスアナ」は「メクラガスアナ」であって、「ガスアナナシ」とは違うものです。

  どうも、今の世の中は、体裁さえ整えばそれで良しというところがありますが、「ごめんなさい」を言いながら差別することは大切なことです。

 しっかり差別用語を使いましょう。商品とサービスの差別化に努力しましょう。

 

彼は、皆が花火を見ている時に「あの色は、硝酸カリウムだとか硫化バリウムだ」とか訳のわからないことを(もちろん私が覚えているこの名も正確ではないだろう)真面目に、

とにかく真面目に淡々とつぶやいていた。真面目に話すほど可笑しさが込み上げてきたものだ。そして私は「理系の頭脳ってのはどんな構造だろう?」と思ったものだ。

今も、楽しい真面目さは変わらない。今もマンホールのふたのように大切な存在である。