連休

ページ6                 岸田 正純

 「もしもし、お父さん。5時頃には着いたよ。玲ちゃんも奈緒ちゃんも元気よ。」

長女の醒めた声に、安心感とともに少しばかり寂しさを感じた。

 我が家のゴールデンウィークは、田主丸にある家内の実家まで約16kmの遠足が

恒例になっていた。6年前、長女が小学校に入学したのを機に、車に慣れすぎた子供達に、歩くことの苦しさ楽しさを見つけて欲しくて、同時に自分自身の運動不足を少しでも解消できればと思い、始めた事だった。

最初の年、長女と次女に弁当とおやつをつめたリュックと水筒を持たせ、帽子をかぶせていざ出発!歌を歌い、しりとりをしながら歩かせた。道端に花を見つければ摘み、蝶を見つければ追いかけ、バス停ごとに休憩。なかなか進まない。まるで、カメとカタツムリを連れた散歩のようだ。

自宅から3〜4kmのところにある、久大本線
御井駅(無人駅)のホームで早めの昼食。そこで、一時間ほど遊んだだろうか。けっこう元気に遊んでいたので「出発!」と声をかけると午前中より更に足取りが重たい。

なだめ透かしたりおだてたりして何とか進ませる。櫨並木で有名な柳坂で「お昼寝」という名の長めの休憩。おやつを食べさせ、一緒に遊んでやり、気分を紛らせながらみたび出発。
しかし、花や蝶を見つけると駆け出すくせに、先に進もうとすると座り込む。とうとう4時頃「きつかあ、もう、あるっきらん!」と言って座り込んだ。

翌日その地点までバスで行き再び挑戦。2日がかりで見事16kmを歩いた。

 今考えてみれば、6歳と3歳の女の子、良くがんばったものだと思う。そして翌年は、三女もベビーカーで参加、一家5人の遠足が始まった。

 ところが、去年・今年と、長女と次女は自転車で行き始めた。今年小学校に入学した三女は、去年こそ私と家内と一緒に歩いたが、今年は一人だけでバスで行くと言う。

当初の目的とは違ってきたが、これも子供たちの成長かと寂しいような嬉しいような、気持ちである。・・そして、冒頭の長女からの電話。

 菜の花摘み、土筆とり、わらび狩り、筍掘り、潮干狩り、柿ちぎり・・・我が家は自然の中で四季を楽しんでいる。母も少しは年老いたがまだまだ元気だ。子供達もまだ親の言うことは聞いてくれる(親バカの分を除いても素直な子供達だと思う)。

しかし、いつか「私、友達と約束があるけん。」とか、「今日はデートやけん、やめとく。」などと言い出すのだろう。今から覚悟はしておこう。

その時は家内と二人で、自然の中を歩いてみよう。 

「私、今からデートだから・・・」と言われない限り・・・・。

                                      
 注釈: ’04年の今、三女の奈緒美さんは明善高二年生とのことです。